被災地復興を目指し、遠隔操作ロボットの開発をスタート
―― まずは、これまでどのようなロボットを開発してきたのかお聞かせください。
―― ロボットの遠隔操作で、建設機械を動かそうと思ったのはなぜでしょう?
きっかけはやはり、2011年3月の東日本大震災です。建設関係の仕事に従事している私が、被災地域の復興に役立てることを探した結果のアイディア。早速、DOKA ROBOシリーズの前身となる5本指機構のロボットを使って建設機械を試験的に動かしてみたところ、本格的に研究を重ねれば、よりスムーズな遠隔操作が可能になるのではという手ごたえを感じました。
―― 2014年に開発されたDOKA ROBOシリーズ初号機から、アスラテックのV-Sido OSをご採用いただいています。改めて、導入の経緯を教えてください。
トルクの強いサーボモータを搭載することで、ロボット自体の性能は向上しましたが、個人で制御システムを作るのはとても難しい。実は、2008年に等身大サイズのロボットを作り上げてはいたのです。しかし、なかなか稼働までこぎ着けず、ただただ機体を寝かせていました。
転機となったのは、私も取材を受けた「ジャパニーズメイカーズ:日本の『新』モノづくり列伝 小さな作業場から生まれるすごいモノ」(学研教育出版)という書籍。こちらに、V-Sido OSを導入した巨大ロボット「クラタス(KURATAS)」(※2)の記事がありました。そこにソフトウェア開発者として吉崎 航さん(現アスラテック株式会社チーフロボットクリエイター)の名前があり、「この人に頼んでみよう」と連絡したのがきっかけです。2013年、アスラテックさんが設立される直前のタイミングでした。
その後、吉崎さんとディスカッションを重ねて、寝かせていたロボットを調整してもらえないかと依頼しました。そうしてV-Sido OSを導入したこのロボットが、2014年にお披露目した初号機「DOKA ROBO」です。国土交通省がこの年に実施した「次世代社会インフラ用ロボット技術・ロボットシステム(災害応急復旧技術)」(※3)に参加できたのも、アスラテックさんのご協力あってこそでしたね。
※2 水道橋重工が開発した巨大ロボット。全高約4メートル、重量約5トンの機体をV-Sido OSによって制御している。搭乗しての操縦に加え、パソコンやタブレットを利用した遠隔操縦も可能。
※3 「維持管理」及び「災害対応」に役立つロボットの公募を行い、国土交通省の直轄現場で技術の実用性を検証・評価する施策。DOKA ROBOシリーズ初号機と2号機は、2014 年から2015 年にかけて、雲仙普賢岳(長崎県南島原市)で実施された現場検証に参加している。